理系の子たちへ

子どもの時に何に成りたかったのかはっきりとは覚えていない。漠然と「自分の好きなように生きられればいいな」ぐらいにしか考えていなかった。
野球選手に成りたい訳でも、ビジネスマンとして成功してお金持ちに成りたい訳でもなかった。
オリンピックやW杯の選手でよく出てくる「卒業文集の将来の夢」にも何を書いたか覚えていない…というよりそもそも卒業文集自体あったかどうか覚えていない。
大人は子どもに「夢を持て」と言うけれど、まだ遠い先の「大人」になるということ自体、どういうことなのかが漠然としていてピンと来なかった。
ただ何となく「ハカセ」に憧れていた。
鉄腕アトムのお茶の水博士、サンダーバードのブレインズ、バックトゥーザフューチャーのドク、私の心を惹きつけてきたのはいつも、ちょっと世間ズレしてて、スゴイ発明をして主役の活躍には欠かせない存在、そんな人ばかりだった。
決して派手に脚光を浴びたいわけではない。ただいつか、自分もスゴイ発明をできるようになって、そのことを喜んでくれる人、自分を信頼してくれている人が周囲にいてくれる。そんな風になりたかったように思う。
同じような道筋を辿って、理系に進んだ人達を、私は密かに応援している。