時間のフィルタ

1973年のある日、京都のライブハウス拾得のステージに立った若き日の山下達郎は、当時全盛だったフォークソングのメッカ、関西の聴衆に全く受けず「帰れ!」と罵声を浴びせられる。
ただステージ終了後、居合わせたギタリストの山岸潤史は達郎にこう言葉をかけたという。
「心配いらん。外国人のお客さんはノリノリやった。」

その後達郎は1980年Ride on timeでブレークする。
1983年の真夏に出たアルバム、Melodiesに収録された一曲だったクリスマス・イブは6年後の1989年、JR東海のCMのBGMに採用されヒットし、その後クリスマスソングの定番になる。
私が持っていたCD「僕の中の少年」は紙ジャケットだったが、まだ赤ん坊だった1990年生まれの娘にズタズタに引き裂かれてしまった。
あれから30年弱の月日が流れたコロナ渦 の2020年、28年続いている山下達郎がDJを務めるFM番組のサンデーソングブックはリスナーが増え、達郎を「発見」した10代、20代からの初リクエストが相次いでいるらしい。本人は「番組開始時の1990年代当初と同じような状況」と言っている。

時と共に色褪せない価値。
一時の流行を追いかけようとせず、時間のフィルタでろ過されたものが「山下達郎」になるのだと思う。

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