スラムダンク

スラムダンクは主人公桜木花道が高校入学してバスケットボール部に入り、夏の大会が終わるまでの約4ヶ月の物語である。
1990年代前半の神奈川県の仮想の公立校、湘北高校が舞台であり、試合もクォーター制ではなく前後半制と時代を感じさせる。
コミックスは累計で1億冊を越えるベストかつロングセラーであり、海外特にアジアでのファンも多い。
私の前職の会社でアジア地区の海外支社から技術研修のため来日した若手の現地社員は、
「趣味はバスケ、ポジションはポイントガード、7番ミヤギです。」
と自己紹介した。
日本人ならスラムダンクは常識であり、登場人物の「宮城リョータ」と言えば誰もが知っていると思っていたのかもしれない。
プレバトの俳句の夏井先生も、全巻持っていると以前番組の中で言っていた。
スラムダンクが国内外、幅広い世代の人の心を今も捉え続けるのは何故だろう?

主人公桜木だけでなく、登場人物のキャラ、それぞれの物語が丁寧に描かれている。桜木がライバル心を燃やす同級生で孤高の超高校級プレーヤー流川、時に周囲との軋轢に葛藤し最後の試合では自分を見失いかけながらも湘北の柱であり続ける主将赤木、元々ひ弱だったが赤木と共に中高6年間真摯にバスケを続けた芯の強さを持つ副将木暮、怪我で離脱し一時グレるも、恩師安西を前に「バスケがしたいです…」と涙ぐみ部活に戻る名手三井、過去の厳しい指導スタイルを捨て、一見飄々としながらも本質を射抜く言葉を選手達に与える監督安西、そのほか湘北の各選手に劣らぬ存在感を放つ他校のライバル達(私のイチオシは陵南の魚住!)等々、いずれの登場人物もそれぞれが意味を持っている。

ストーリーにそれぞれ異なる価値を与える登場人物の中に自分の姿を投影出来る誰かが存在すること、実社会ではまだまだ実現されているとは言い難い「ダイバーシティ」がそこに描かれていることが、スラムダンクの幅広い人気のバックボーンにあるように思う。

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