20年近く前の事である。当時ある車載機器の開発に従事していた私は、関東の某自動車メーカーの研究所で中々会う事が難しいと噂のあるキーパーソンのアポが取れたとの事で、上司と同僚と共に先方に出向いた。
名刺交換を終えるなり、当のキーパーソン氏は我々に「今日は一般的な情報交換はするがあなた方と個別の話をするつもりはない。」と言った。
上司がそれでもいいと答えると、キーパーソン氏は「では異業種交流会という事で」と言われ面会が始まったがその後の話の内容は全く覚えていない。
就職して初めて自分で買った車がそのメーカー製だったため、それまでは個人的な思い入れもある会社だったが、私はその日、このメーカーの車は二度と買うまいと決めた。
その決め事は今も変えてないし、今後このメーカーから如何に性能やデザインに優れた車が発売されたとしてもおそらく変わらない。
もし変わるとしたら、それは彼のキーパーソン氏の言動を打ち消して余りある魅力を持つ、このメーカーの人と会った時であろう。
モノさえ良ければ気にしない、という人もいるだろうが私は違うし、それでいいと思っている。
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